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音楽劇「Zip&Candy」囲み取材(浅川梨奈・秋山ゆずき・校條拳太朗・米原幸佑)



物語は、地球から約14億キロ離れているという土星が舞台。ある日、カレルヤ博士と助手コケル(あまりかなり)の手によって誕生した最新鋭のロボットのジップ。けれど彼は心が気薄で、みんなの手を焼かせるやんちゃな男の子だ。特技はライト(加藤凛太郎)とレフト(松村泰一郎)という左右の翼を操り空をどこまでも飛んでいくこと。ある日、ジップが空を飛んでいると、みなしご窃盗団に撃ち落とされてしまう。彼らが墜落した町を彷徨ってたどり着いたのはサンドイッチ博士(星田英利)の研究所。そこでキャンディという旧型のロボットに出会う。その研究所から一歩も出たことがないキャンディのため、ジップは彼女を外の世界に連れ出したものの……。

 今作は少年・少女の「ボーイ・ミーツ・ガール」のお話とも言える。大切なあなたに出会った時に抱く愛おしさが舞台に詰まっている。さらに笑いのツボを押さえまくった物語展開は、演出のなるせゆうせいのなせる技だろう。どのキャラクターも底抜けに明るく、ギャグあり、恋あり、失恋あり、涙あり、たとえどんなに辛い今日が待っていても、明日のために強く生きることだけは忘れていない、そんなキャラクターたちが舞台を駆け巡る。

【ゲネプロレポート】

 元スパガの浅川梨奈の野蛮な性格の少年ロボットがキャンディと触れ合って心を手に入れていく演技、そして朗々と歌い上げる美しい声。若干20歳の女優がシーンの細部にわたってキラメキを見せる芝居をすれば、「カメ止め」で卓抜な演技を披露した秋山ゆずきは、カクカクしたロボット然とした演技を自在に操りながら、純粋無垢な少女を闊達に演じて答えてみせる。

 二人ともイキイキしながら手を取り合って舞台上で生きている。まるで初恋をしている少年・少女のように。まさにW主演の見どころが満載の舞台となっている。

 登場人物たちは、みんな少しだけ何かが欠けている。けれど、それを優しさで補いあって、お互いがいたわり合って生きることの大切さを今作は教えてくれる。真夏に贈るクリスマスの奇跡を描いた心温まるファンタジーだ。公演は7月14日(日)まで。(文・竹下力)

【公演概要】

タイトル:音楽劇「Zip&Candy」
原作:にしのあきひろ 「Zip&Candy」(幻冬社)
脚本・演出:なるせゆうせい
日程:2019年7月4日(木)~14日(日)
会場:俳優座劇場

キャスト:浅川梨奈 秋山ゆずき/校條拳太朗、米原幸佑、内海啓貴、反橋宗一郎、古畑恵介、加藤凛太郎、足立英昭、岩城滉太、田中孝宗(劇団俳優座)、後藤紗亜弥、中江早紀、中村翼、あまりかなり、西田薫子、平田りえ、松村泰一郎/緒月遠麻/星田英利 他

主催:音楽劇Zip&Candy製作委員会
公式サイト:http://zipandcandy-stage.com/
(C)音楽劇『Zip&Candy』製作委員会

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