今年9月1日、死者・行方不明者が10万5000人に上った関東大震災から100年になります。大震災では「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「集団で日本人を襲ってくる」といったデマが拡散され、朝鮮人が殺害される事件が相次ぎ、数千人が犠牲になりました。多くは「自警団」という武装した日本の民間人によるもので、中には朝鮮人と疑われた日本人も殺害されていました。そのひとつが千葉県の福田村、現在の野田市で起きた悲劇「福田村事件」です。長く歴史の闇に葬られてきたこの事件が映画化されました。
物語は、当時日本が統治していた朝鮮で教師をしていた主人公・澤田が、妻とともに故郷の千葉県福田村へ帰ってくるところから始まります。日露戦争を経て、のどかな村は軍事の色が濃くなっていました。
同じころ、四国の香川県から薬の行商の一行15人が関東を目指していました。旅の終わりに悲劇に襲われようとは知りようもありませんでした。
故郷・福田村に戻った澤田でしたが、朝鮮で日本軍の残虐行為を目撃したことで、その心は重く閉ざされていました。日本が朝鮮を植民地支配していた当時、日本に住んでいた朝鮮人は「不逞鮮人」という蔑みの言葉で呼ばれ、新聞がその風潮を煽りました。
そして1923年9月1日、大地震が発生。東京周辺は大混乱に陥り、朝鮮人を悪者にする流言飛語が広がっていきます。
福田村では被災地各地と同じように自警団が結成され、住民らが竹やりや日本刀で武装し、朝鮮人を見つけたら殺してしまえ、という空気が高まります。
その直後、福田村に入った行商の一行は、言葉や身なりから怪しまれ、自警団に取り囲まれてしまいます。彼らを守ろうと駆けつける澤田と妻。そして村長。この後、映画は歴史に埋もれた悲劇を史実そのままに描き出します。
主演の井浦新さんは凄惨な事実をたどっていくことはとてもきつい作業でしたと振り返った上でこう話します。
(井浦新さん)「起きていた事実が1つあったとしたら、それをみんなが学んでいって、次にそういうことが起きないためには、争いがないためには、差別を生まないためには、僕らはどうするのか、ということが僕は一番大事だと思います。映画館で出会ってもらうということも一つ大きなきっかけになる」
社会派ドキュメンタリー映画の第一人者・森達也監督は今回初めて劇映画のメガホンをとりました。
(映画「福田村事件」 森達也監督)「使命感だけではないですよ。エンタメとして面白くできるはずだと僕は思っているので、今回エンタメとして映画としてうまく着地できたのかどうかはわからないけれど、とくに終盤は手に汗握る展開にできたんじゃないかなと思っています」
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