CELEBRITY

桜島の過去の大噴火に“共通点”マグマが50日以上通り道で停止 東北大学の研究グループ突き止める



過去に起きた桜島の大規模噴火では、いずれもマグマが噴き出す前に50日以上、通り道で停止していたという共通点があることがわかりました。突き止めたのは東北大学の研究グループです。
 大規模噴火に至る前の50日の時間的な余裕。どう考えればいいのでしょうか?

この動画の記事を読む>
https://news.ntv.co.jp/n/kyt/category/society/ky07f535250ec14be7af13b675a99c8bc5

(内田直之キャスター)
「錦江湾に浮かぶ桜島。大正噴火と同じ規模のマグマを溜めつつあると言われています。大規模噴火の兆しが見えてから噴火に至るまでの時間をどう活用するか考えることは大切なことです」

 桜島は繰り返し大規模噴火を起こしています。有史以降では、1471年、戦国時代の文明噴火、1779年、江戸時代の安永噴火、そして、1914年、大正3年の大正噴火です。

 東北大学の研究グループはそれぞれの大規模噴火で噴き出した軽石を採取して調べることである共通の現象を突き止めました。

(東北大学大学院地学専攻 新谷 直己 助教)
「50日以上。けっこうざっくりした数字ではあるが過去の噴出物から見て確からしく言える数値を出せたことは今後の防災対応などに貢献、寄与できると思うので嬉しく思っていた」

 桜島のマグマは姶良カルデラから火口の下まで移動して噴火を起こしていることがわかっています。新谷助教などの研究グループは火口の下まで移動したマグマは深さ1キロから3キロ程度のマグマの通り道で50日以上、停滞したあと、再び上昇して噴火に至っていたことを突き止めました。
 大規模噴火の研究で数十日単位の細かい日数が発表されたのは異例です。

(内田直之キャスター)
「50日以上停止してから噴火に至ったのが鉱物のどういう所でわかる?」

(東北大学大学院地学専攻新谷 直己 助教)
「鉱物が結晶化した所の温度や圧力、マグマの化学組成そのものによって異なる。温度や圧力が変わったら木の年輪のように化学組成が輪っかに鉱物の中にできる。丁寧に分析することでいつどこでどういった現象が起きていたか鉱物の化学組成から復元することができます」

 大規模噴火の前の50日という時間的な余裕をどう考えたらいいのでしょうか?

(東北大学大学院地学専攻 新谷 直己 助教)
「これから起きる大規模噴火が過去3回と同じ経路をたどるならという仮定はあるが浅い所にマグマが上昇して停止してから数十日、50日程度以上は停滞しているのでもう一段階、具体的な防災対応を考えたり、とることが十分可能かなと思います」

 一方で、火口の下まで移動したマグマは50日以上経った後、必ずしも大規模噴火を引き起こすとは限りません。こんな難しさを指摘します。

(東北大学大学院地学専攻 新谷 直己 助教)
「人間の意識としては時間が経つと危機意識はどうしても下がってしまう。ずっと噴火や自然災害に備えて生活するのは大変だと思う。普段の生活と折り合いをつけながらやっていくのはかなり大変なことになるのではと思っている」

 防災意識を持ち続ける難しさ。これは火山に限らずすべての自然災害に共通しています。

(山下香織キャスター)
「マグマが移動した後、備えるための時間的な余裕があるというのは安心材料かもしれません。しかし、新谷 助教によると「危機意識を保つ期間が長くなり意識が下がり始めたタイミングで大規模な噴火が起きる恐れもある」ということです。