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会見「誠実」を前面に 加藤官房長官 菅首相とは対照的?

16日に発足した菅義偉内閣で、スポークスマンとなる加藤勝信官房長官の手腕に注目が集まっている。前任の菅首相は「鉄壁のガースー」と呼ばれ、政府見解の枠を超えない答弁が目立ち、ときに冷淡な印象も与えた。旧大蔵省出身の加藤氏も手堅さには定評があるが、質問する記者に体を向け、視線を合わせて答えるなど、誠実さをアピールする姿勢が目立つ。   「一番大事なことは国民の目線に立った行政、政治が行われているかだ。政府が何をどう考えているのか、しっかりコミュニケート(伝えて)していく」   加藤氏は17日の記者会見で、官房長官として目指す方向性を問われ、前任の首相を模範とする意向を示しつつ、政府の方針がきちんと伝わることを何より重視する考えを示した。   この日の会見でも、加藤氏は質問者の方向に体を向けた。答える際は手元の資料に目を落とすことを極力避け、自分の言葉に置き換えて話す姿勢が目立った。   こうした対応は首相とは対照的だ。首相は官房長官当時、「森友・加計問題」などで政府への批判が高まって以降、手元の資料を見ながら質問に答えるパターンが多かった。政府見解と異なる見解を口にしない狙いがあったが「役人が作った原稿を読んでいるだけではないか」という印象も与えた。   記者会見をめぐっては、加藤氏自身も厚労相時代に苦い経験がある。   新型コロナウイルスをめぐり、当初は感染が疑われた場合に相談する目安を「37・5度以上の発熱が4日以上」としていたことについて、5月の記者会見で「われわれから見れば誤解」と発言。早期の検査につなげない医療機関や保健所に「責任転嫁している」と批判を浴びた。   現時点で質問されるのは、新内閣の抱負など軽い質問ばかりだ。政権にとって耳の痛い課題でも、誠実な印象を保ちながら、きちんと説明責任を果たすことができるか。真価が問われるのはこれからだ。(大島悠亮)