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トランプ大統領“薬”から見える病状・・・専門家に聞く(2020年10月5日)

新型コロナウイルスの感染で軍の病院に入院中のアメリカのトランプ大統領。いま、どういう症状なのでしょうか。感染症学が専門の国際医療福祉大学・松本哲哉主任教授に聞きます。

◆『抗体カクテル』を使った治療が行われ、治療薬『レムデシビル』『デキサメタゾン』の投与を行っています。このような薬を使うということは、どのような病状だと思いますか。
『抗体カクテル』は、細胞を培養して人工的に作った複数の抗体を投与するというものです。臨床的には、まだ、承認はされていない。現時点では試験的治療薬です。本来であれば、ゆっくり上がってくる抗体ですが、この抗体カクテルで一気に上がる。そうすると抵抗力が付き、重症化は防げる。『レムデシビル』は、基本的に重症の患者に使うもので、軽症の状態ではまず使わない。そのときは重症ではなかったものの、重症の兆候が認められた可能性があります。その後、『デキサメタゾン』が投与されましたが、これは、薬が変わったというより、かぶせた、加えたということです。デキサメタゾンは、サイトカインストームのような免疫細胞の暴走を止めることができる。最初の2、3日以内で、症状が悪くなる兆候があったと思います。そうでければ、通常、早期にこのような薬を使うことはありません。

◆血中の酸素飽和度が、一時93%に下がることはありましたが、90%台で推移しています。どんな状態であると考えられますか。
肺炎があったのは間違いありません。色々なところに認められたと思われます。重症での状態ではないので、短時間アピールしたりすることはできたのかもしれません。

◆医師団は「早ければ5日にも退院を計画できる」としていますが、どう見ますか。
今回の“退院”というのは、回復して治療はやらなくてよいということではなく、恐らく形式として病院を出るということ。薬などの治療は続けながら、慎重に様子を見ていくという意味での退院だと思います。まだまだ予断を許さない状況です。通常であれば、1週間は辛いと思います。場合によっては2週間くらいといも考えられます。ただ、このような時期なので、元気そうな姿を見せるかもしれませんが、本来であれば、1、2週間は寝ていてもいいくらいの状況だと思います。
[テレ朝news]