江戸の町で、子を装って親を欺いて金を奪う「親だまし」の詐欺が頻発する。同心の渡辺小五郎が勤める本町奉行所には、名裁きで名高い湯川伊周が町奉行としてやってきた。新しい与力として田上誠蔵も就任し、詐欺の取り締まりに本腰を入れる。
そんななか、小五郎はひょんなことから助けてやった幼い娘・つゆになつかれてしまう。親戚に預けられて厄介者扱いされているという境遇を知ったふくとてんは、つゆを家に置こうと言い出す。
一方、経師屋の涼次は、博打で儲けた金で祝い酒を飲もうと訪れた水茶屋でたけという気立ての良い女と出会う。水茶屋の仕事でお金を貯め、今は別れて暮らす娘と居酒屋を開くのが夢だという。
リュウはといえば、庭師として働く毎日を送り、たまたま新与力・田上の家にも出入りしていた。家に引きこもっていた息子・田上新之丞と親しくなったリュウは、一緒に外の空気を吸いに出かけることに。街中で出会ったのが「新生塾」を主宰する熱き教育者・溝端九右衛門だった。悩める若者たちに生きる道を説く彼の熱弁にすっかり心酔した新之丞は入塾を決意するが、父の誠蔵には反対されてしまう。