重い症状の新型コロナ感染者を治療する最前線です。浜松市にある聖隷三方原病院のコロナ医療の中枢、重症化病棟にカメラが入りました。
聖隷三方原病院は新型コロナ重点医療機関のひとつです。症状が重い患者6人を受け入れられる重症化病棟です。手前が新型コロナウイルスのないグリーンゾーン、窓の向こうが患者がいるレッドゾーンです。撮影した6月中旬、3人が入院していました。最も感染が拡大していた5月は6床のうち5床が埋まったといいます。レッドゾーンに入る医師や看護師はガウン、マスク、フェイスシールドなどを付け、さらにエプロンを何枚も重ねます。
<F5病棟 廣川直子係長>「防護服を着ているとかなり暑いんです。1回(レッドゾーンに)入るといろんなことをやっていきたくなるが長時間になると負担が多い」
感染対策が確立され、症状の程度によっては看護師やスタッフの装備も簡易にしつつある病院もありますが、重症化病棟はいまも厳戒態勢が続いています。グリーンゾーンでは患者の容態に異常がないか24時間、モニターで様子を見守ります。患者がつけている青いパイプは人工呼吸器につながっています。スタッフは電子カルテに患者の状態を記入しつつ必要な処置を施していきます。
<呼吸器内科部長 横村光司医師>「何とか人工呼吸器から離脱できても、その間機械に依存していた格好ですので、そこからの回復に時間を要する。負担は大きい治療」
この日、病棟にレントゲンが運び込まれました。医師の判断で患者の肺の状況を撮影するためです。こうした大掛かりな機材には、レントゲンのほか、深刻な症状の患者に使う人工心肺装置「ECMO」があり、ベッドの周囲は広いスペースがとってあります。聖隷三方原病院には、重症化病棟の他に、より症状が軽い患者を治療する病床が26床ありましたが、病院は6月、このうち8床の機能を強化し、さらに重症患者用のベッドを増やしました。
<聖隷三方原病院 荻野和功病院長>「インド株はイギリス株よりさらに感染力が強いといわれているので。2倍くらい従来型より(感染力が)強い。広がる時は(感染者が)かなり多くなってくるだろう」
聖隷三方原病院は6月、1週間に2700人を受け入れる独自のワクチン接種をスタートさせました。医療のひっ迫を招かないためには社会全体がコロナに対しての免疫をつけるしかないといいます。
<聖隷三方原病院 荻野和功病院長>「とにかくもうワクチンしかない。ワクチン接種をとにかく急いで、この地区の集団免疫をある程度できる形にもっていかないと、秋以降しんどいことになる」
重症に陥った人を救う高度な医療を充実させながら、コロナ全体の抑え込みを図る。地域の拠点となる病院では近い将来を油断なく予測しながらコロナと闘っています。
7月1日 SBSテレビ「ORANGE」放送
#オレンジ6