本日は、4月29日に発表されたレムデシビルに関する情報をお届けします。今回はポジティブな結果です。
2020年4月29日、NIHとギリアドサイエンス社は、レムデシビルの投与により新型コロナウイルスの症状が改善するという臨床試験の途中経過を発表した。
NIH(アメリカ国立衛生研究所)は、2020年2月21日より、新型コロナウイルス患者1063名にレムデシビルあるいはプラセボを投与する大規模な臨床試験を行っている。今回はその試験の途中経過が報告された。治療をしてから回復するまでの期間の中央値は、プラセボ群15日、レムデシビル群10日となり、レムデシビル群はプラセボ群に比べ31%改善され、統計学的な有意差を示した(p<0.001)。また、プラセボ群の死亡率は11.6%に対し、レムデシビル群は8.0%であり、3.6%改善された(p=0.059)。
ギリアドサイエンス社は、新型コロナウイルス患者にレムデシビルを投与する臨床第3相試験を行っている。今回は、その臨床試験の途中経過を報告した。今回の試験結果では、レムデシビル5日間投与および10日間投与の有効性及び安全性を解析している。レムデシビル5日間投与及び10日間において、有効性・安全性に差は見られなかった。2ポイント以上の臨床的回復および臨床的回復率は、5日間投与群で65%、10日間投与群で54%であった(臨床的回復:p=0.16、臨床的回復率:p=0.17)。また、死亡率は、5日間投与群で8%、0日間投与群で11%であった(p=0.7)。全体の副作用は、5日間投与群で71%、10日間投与群で74%であった(p=0.86)。今回の予備結果から、レムデシビルの短期投与(5日間投与)は、長期投与(10日間)と同程度の効果を示す可能性が示唆された。
参考
NIHのニュース
ギリアドサイエンス社のニュース
●Dr.Tomo
大学院で博士課程(Ph.D)を取得後、1年間博士研究員として勤務。その後、外資系製薬企業で世界中の医薬品のマーケティング部門に所属(現職)。研究員時代は脂質代謝酵素とミトコンドリア、小胞体、オートファジーなどの関係を研究していた(基礎研究出身)。Youtubeでは高校生に向けた勉強法や研究・製薬に関する情報を配信している。