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CinemaGeek きみの瞳が問いかけている



きみの瞳が問いかけている
素直な感想とすこし突っ込んだ情報で映画を観たくなってもらえるような内容でお届けします
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監督/三木孝浩
出演/
柏木あかり/吉高由里子 
アントニオ・篠崎 類/横浜流星

今までの三木監督作品とは全く違うテイスト感
それでありながら、いままでの三木監督らしい逆行を含めた演出の安定感。この両方がブレンドされた、新しい三木孝浩作品と感じた。

やはり夜のシーン、暗いシーンが多くなった。これは元映画、シナリオ展開的に当然のことだと思いますが、物語の冒頭は全体的にトーンを落とした雰囲気に。明香里が登場し親しくなるにつれて明るいシーンが増えていくところなどは、まさしく三木監督演出。さらにキスシーンの逆光も三木監督らしい演出といえる。

もともとは韓国映画「ただ君だけ」のリメイク
その作品そのものがチャップリンの「街の灯」をインスパイア
吉高由里子演じる名前のあかり/明香里 は「街の灯」「灯/ひ・灯り/あかり」からのリスペクト?

しかし盲目の役は難しかったと思いますが、それをうまくスクリーン上で表現できたのは「僕等がいた」があったからこその、吉高由里子&三木孝浩監督の信頼関係なのでは?

彼女の演技の光るのはやはり瞳に現れていたと思います
すべての不幸を受け止めて、自分の責任として受け入れつつ、今を生きるのが精一杯の瞳から、新たな生き方のために1歩を踏み出したときの瞳の輝き方は本当に素晴らしかった

「セント・オブ・ウーマン」のアル・パチーノのことや「至福のとき」のチャオ・ベンシャンを思い出したりしました

もちろん流星くんも瞳の演技は素晴らしかった
最初の全てに絶望していた瞳が、生きる目標と理由を見つけたときの瞳、闇格闘をする決意をした時の瞳、最後の前に伝えたい思いがあるのに声に出せない、声をかけられない悲しみの瞳。
 
彼のキックボクシングのシーンは三木監督にはいままでそれほど多くなかったガッツリとしたアクションシーン。カメラワーク、カット割りのいずれにおいても迫力が伝わってきました。

脚本が登米裕一氏ということで「くちびるに歌を」以来のタッグですが、安定したシナリオ展開。リメイクという場合どこまで元の映画に寄せるかのさじ加減が難しいと思いますが絶妙だったと思います

椰子の実、シーグラス、キンモクセイ といったさまざまな伏線がきちんと帰着するのは脚本の妙だと思いますが、そのそれぞれの伏線をいやらしくなく、自然に映画の中に取り込んだのも三木監督の妙とも言えるのではないでしょうか?