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【新型コロナ】感染者減少傾向の中 “コロナ後遺症”のリスクに医師が警鐘



感染者の減少傾向が続く中、いまだに多くの人が新型コロナウイルスの後遺症に苦しんでいます。社会が新型コロナウイルス対策“緩和”へと動き出すなか、現場の医師は、後遺症のリスクに警鐘を鳴らしています。

■みらいクリニック・今井一彰院長
「よし、行きましょう。」

2月3日、福岡市博多区のクリニック『みらいクリニック』を訪れたのは、福岡県内に住む40代の女性です。女性は“第6波”さなかの去年3月、新型コロナウイルスに感染しました。症状はまもなく収まりましたが、約2か月後の5月ごろから体に異変が表れました。

■去年3月に感染した女性(40代)
「けん怠感だけが続いてだるくて、横になっているっていう感じの生活でした。」

幼い子ども2人を抱えて家事もままならない状況になった女性は『みらいクリニック』を受診し、“コロナ後遺症”と診断されました。

■今井院長
「じゃあ治療していきましょう。」

今井院長によりますと、後遺症を訴える患者の多くは鼻の奥にある『上咽頭』に炎症があります。この炎症を取り除くことで、約8割の患者が3か月以内に症状が改善したといいます。ただ、この女性の場合、通常の生活を送れるように回復するまで、半年近く後遺症に苦しめられました。

■去年3月に感染した女性(40代)
「感染自体は仕方がないと思っていたが、体調がここまで崩れるとは思っていなかった。先が見えないときはきつかった。二度とかかりたくない。」

2023年春、新型コロナウイルスとの向き合いかたは、大きく転換します。3月13日からマスクの着用が『個人の判断』に委ねられ、5月からは感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ『5類』に引き下げられます。“第6波”以降で拡大したオミクロン株は、重症化率や致死率が低い傾向にあることが理由の一つです。

ただ、岡山大学病院が行った、新型コロナウイルスの後遺症に関する調査によると、けん怠感を訴えた人の割合はデルタ株の49%に対して、オミクロン株は68%と19ポイント増加しました。また、睡眠障害を訴えた人は27%と、デルタ株の2倍以上になっています。

この日、初めて受診した40代の女性は、“第8波”に入った直後、去年11月下旬に新型コロナウイルスに感染しました。新型コロナウイルスの症状自体は、のどの違和感や発熱などかぜに似ていて、1週間程度で収まったといいます。

■去年11月に感染した女性(40代)
「けん怠感と動悸・めまいとか、また新しく嗅覚の障害が出てくると、本当にうつっぽくなるというか、ちょっともう本当にうつっぽくなるというか、気持ちがめいってくるので、後遺症の症状のほうがやっぱり精神的につらくなってくる感じです。」

自宅ではだるさで動けず、ほとんど寝たきりの状態だったといいます。検査の結果、この女性にも、のどの奥の上咽頭に炎症が見つかり、継続して治療を行うことになりました。

これまでに約650人の後遺症患者の治療にあたってきた今井一彰院長は、ウイルスの弱毒化と後遺症の発症との間に関連性は低いと指摘します。

■今井院長
「弱毒化しているから症状自体が軽いのかなと思っていたが、いや全然。重い人はこれまでの後遺症と同じぐらいやっぱりひどい。ちょっと考えが甘かった。」

対策が“緩和”へと舵が切られるなか、新型コロナウイルスにはいまだ、さまざまな後遺症のリスクが潜んでいることを理解しておく必要がありそうです。

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