ドラマや映画の撮影現場には、出演者やスタッフをまとめる「座長」が存在する。主役がその役割を果たすことが多いが、座長の旗振り次第で、作品の良し悪しが決まるといっても過言ではない。その重責を背負い、闘っている主演俳優がいる。彼が直面した人気シリーズゆえの苦境とは──。 『特捜9 season2』(テレビ朝日系)は、警視庁捜査一課特別捜査班の刑事たちが難事件の解決に挑む刑事ドラマ。もともとは2006年に『警視庁捜査一課9係』として始まったが、主演の渡瀬恒彦さん(享年72)が2017年に急逝したことを受け、井ノ原快彦(43才)が主演を引き継いでリニューアルした後継作。昨年に続き、シリーズ2作目の放送となる。 『9係』は10年以上続いた人気シリーズだが、『特捜9』もシーズン1は全話平均で視聴率14%を記録。シーズン2も第1話で15.2%を獲得し、今クールのドラマ視聴率で1位を争うほど絶好調だ。 井ノ原演じる特別捜査班主任・浅輪直樹を中心に、個性派ぞろいの刑事たちが協力して事件を解決に導く本作。しかし、現場では不穏な空気が流れているという。 「本作では複数の監督を起用しているのですが、シーズン2では『9係』の1作目からメガホンをとってきた大御所の監督2人が“リストラ”されました。代わりに新しく気鋭の監督を起用したのですが、そのやり方に合わないという俳優さんが何人かいたんです。表立って批判することはないものの、“アクションが多すぎて若者向けのように感じるがいいの?”“撮り方もせりふ回しも変わりすぎのように思う”とこぼしていた人もいた」(番組関係者) また、特別捜査班の刑事・村瀬健吾役の津田寛治(53才)は6月13日に行われた打ち上げを欠席。一部スタッフの間では「あの様子では来ないのも無理はない」と囁かれていたという。津田はある日の撮影終了時、スタッフたちの前で「このシリーズがここまで続いてきたのは、前作までの監督の力が大きい」と話したそうで、わざわざ今作の監督の耳に入るように発言したと思ったスタッフもいたという。 そんな空気に誰よりも責任を感じていたのが、井ノ原だった。そもそも、このドラマの撮影現場はかなりストイックなことで知られる。『9係』の時は、渡瀬さんが現場を仕切り、“最高の作品を作りたい”という熱い思いから、共演者やスタッフに対して怒号を飛ばすこともあったという。 主演のバトンを引き継いだ井ノ原は、そんな“渡瀬イズム”も継承していた。
DRAMA