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「選挙に不正」トランプ陣営 郵便投票を標的に(2020年11月5日)

バイデン氏の優位が伝えられるなか、トランプ陣営は、選挙に不正があるとする主張を強めています。

 追い込まれたトランプ大統領が取った手段。それは、投票や開票を「不正」とする主張。高らかに勝利宣言を行った4日の会見。一方で、こんな主張も・・・。
 トランプ大統領:「非常に悲しい一団が投票権を奪おうとしている。私たちは決して容認しない。複数の州で勝っていたのにどういうわけか集計が止まってしまった。連中は勝てないと分かって法廷闘争に持ち込む気なんだ」
 しかし、「バイデン候補が獲得したとみられる州において票の集計に不正があった」と主張して、先に訴訟を起こすことを明らかにしたのはトランプ大統領側の方でした。側近やファミリーも援護射撃。息子のエリックが「早朝4時に、スーツケースとアイスボックスが開票エリアに持ち込まれた」という極右サイトの記事を引用し、拡散すれば・・・。元ニューヨーク市長のジュリアーニ氏までも・・・。
 ルドルフ・ジュリアーニ元NY市長:「大規模な不正があった。今、弁護士チームとフィラデルフィアに向かっている」
 デトロイトの集計所では、支持者が詰め寄る場面も。一方で開票をやめろと詰め掛け・・・。一方ですべての票を数えろとデモ。その背景にあるのがコロナ禍で急増した郵便投票です。トランプ大統領は選挙演説でも繰り返し、「郵便投票には不正がある」と訴えてきました。
 郵便投票を巡る攻防は数カ月前から起きていました。6月、アメリカの郵政公社では新しい総裁が就任。そして「経費削減」のためとして様々な改革に打って出ました。さらには、残業代や郵便仕分け機の削減にも着手し、各地で配達の遅れを発生させました。そのうえで46の州と首都ワシントンの当局に対して「郵便投票は集計期限内に配達できない可能性がある」と警告したのです。
 この新総裁。実は共和党とトランプ大統領の大口献金者。総裁に選んだのもトランプ大統領が任命した理事たちです。この改革に対しては民主党などから「選挙妨害だ」との批判が上がり、郵政公社は大統領選が終わるまで改革は凍結すると発表しました。
 米・郵政公社、ルイス・デジョイ総裁:「郵政公社は国民の投票用紙を安全かつ時間通りに届けるための十分な能力があり、そのために尽力しています」
 ただ、実際は違いました。投函(とうかん)された投票用紙が少なくとも約30万票、配達されていないのです。連邦地裁は処理施設を点検し、3日の午後までに票を配達するよう命じましたが、郵政公社は業務に支障をきたすとして命令に応じませんでした。まだ配達されない票があるなか、激戦州の当局はこれから届く分も集計するとしています。
 そもそもトランプ大統領が郵便投票を批判するのはアフリカ系やヒスパニック系などの票が増え、民主党に有利に働くからです。トランプ陣営は開票の停止や再集計を求め、次々と訴訟に打って出る構えです。
 500票差を巡って最高裁まで争い、12月まで勝者が決まらなかった「フロリダの悪夢」の再現になるのでしょうか。州知事らは反発しています。
[テレ朝news]